ジョージ・ハリソン 「電子音楽の世界」
ジョージネタが続きます。正直言ってジョージのアルバム数あるなかで昔からほとんど聴いたことのないアルバムがこの「電子音楽の世界」です。いま改めて聴いても、とてもお気に入りの音楽に入れるレベルの曲ではないと断言してしまいましょう(笑)現代音楽や前衛音楽などを好んで聴くタイプではないので(それらとも微妙に違いますよね)このアルバム1枚通して聴くのはなかり苦痛です。アンビエント的なものとも違い、完全に実験音楽であるからです。このアルバムはジョージがレット・イット・ビーのレコーディング後に渡米した際にムーグ・シンセサイザーに出会って、試し弾きといった感じのアルバムです。発表当時はムーグ・シンセサイザーそのもの音色の可能性という意味ではかなりい存在価値があったかもしれません。たしかに、ポップに楽しめる音楽ではないのですが、ムーグ・シンセサイザーという新しいオモチャを与えられたジョージが無邪気にいじっていると思うとまた違って聴こえて来ませんか?こういったジョージの好奇心が非常に共感が持てるのです。しかし、このアルバムがアップルのサブレーベルである「ザップル」からだとはいい正規にメジャーでリリースされていることも興味深いですね。先日取り上げたビートルズ・アンソロジーにおいても、この時期のアップルは様々な芸術家(けっこう怪しげな)の支援をたくさん行なっていたようです。こういった活動は直接アップルから成果として上がって来なかったですが、その後のイギリスのアート関連には影響があったのではないでしょうか。
- George Harrison - Under the Mersey Wall(Part 1/2)
マージー壁の下で - George Harrison - Under the Mersey Wall(Part 2/2)
- George Harrison - No Time or Space
このアルバムジャケットの絵もジョージ自身が描いたものです。
実際、このジョージの実験作の成果がビートルズの「アビーロード」に現れているわけですね。実験音楽とはこういったものなのですね、ちゃんとその先の繋がりはあるものです。
- The Beatles - I Want You "She's So Heavy"
ホワイトノイズや風の音の演出をムーグ・シンセサイザーによって作っています。
- The Beatles - Because
この美しい曲。明らかにベートーヴェンの「月光のソナタ」をモチーフにしているのですが、そこに実験作の成果であるジョージのムーグ・シンセサイザーの音色が効いています。